万引き対策等による商品ロスを防止する私服による店内保安警備の専門会社株式会社 日本保安(千葉県千葉市中央区)

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第11話:3年目から考え始める店つくり

 2017/12/24

 

 年末に向け、冬物商戦、年末商戦といったピークを目前に、お店の皆さんは大忙し時期 になって参りました。この波を超えると、徐々にお店も、もっと言えば会社全体も春への準備へと転換していきます。

 さて、春といえばやっぱり新入社員の季節ですよね。各職場でフレッシュなメンバーが入り、初期教育が行われていきます。

一方で、先輩社員も襟を正して、基本に立ち返る必要がある時期でもあります。やはり新入社員に模範示すという意味でも、率先垂範が重要です。これが伴わない職場では、新人達に施した基本教育が「先輩たちもやっていない」という理由で、浸透しないという現象が起きやすくなります。

 

また、最近増えてきているのが若手社員へのフォロー教育です。特に小売業の場合、OJT(現場教育)のウェイトが高く、入社時の初期教育の後は働きながら学ぶスタイルがほとんどで、「入店した店のタイプ」「上長の指導」「教育担当となった先輩の教え方」…など様々な背景に影響を受けて個人差がついていきます。もっと言えば基本動作を習得した後、「仮説→計画立案→実行→検証→改善→新たな仮説」といったマネジメントサイクルをもって取り組むことができるかどうかで、本人の視点や取り組み方が大きく変わってきます。

一方、これは、あるいみ昔から変わりませんが、「最近の若手は・・・・」という声があるのも事実です。環境の変化スピードがどんどん速くなっていることもあり、世代感の生きてきた時代背景のギャップが広がってきた影響もあり、価値観の差が大きくなっていることも原因の一つでしょう。また過去に比べ、売上を伸ばしにくい環境になっている為、成功体験をしにくくなっており、小売業の仕事そのものの楽しさを感じにくくなっていることも一因です。

こういった背景を受け、人口減少時代で確保した貴重な若手の定着、育成を強化したいというニーズから、若手世代の育成を図る教育研修のご相談を受けるケースが増えてきています。

こういった際に、ご提案していくのが、今回のタイトルでもある「3年目から」という経験時期に着目したアプローチです。

3年目というと、「朝、店を開けてから、閉めるまでの間の一日の流れ」、「週間」、「月間」、「シーズン」、「年間」といった一通りの体験を二回り以上経験した時期です。大きく言えばやらなければならない事を体で覚え、お店を回す力が一通りつけたタイミングです。

一方で、この時期から個人差が大きく開き始めるのも実態です。自らマネジメントサイクルを回してノウハウをため続けているか、また上長や先輩から、経験を積み重ねたからこそわかる指導助言を受けられているかどうかで、大きく変わってくるからです。

 

この時期の若手社員を伸ばすアプローチは大きく二つの視点があります。ひとつはマネジメントサイクルの確立など、仕事の進め方に対する視点です。自律性を高め、自ら考え行動し、仕事のプロセスと成果を高めていく為の進め方を習得していきます。

もう一つの視点は、具体的な方法論を学んでいく事です。

上長や、先輩が論理的に指導教育してくれれば問題ありませんが、長時間営業や、人手不足の影響を受け皆の余裕が少なく、更にシフトの幅が広がったことで、そもそもコミュニケーション上の接点が減少していることなどを受け、実際にはじっくりと指導することがなかなかできません。

そのため、経験をしたことで初めてわかるようになる項目や、経験や知識を連結し方法論を改善するスキルを習得する場を、OJT以外に確保する必要性が高まっています。

「既存業務のブラッシュアップを図る」、「運用方法を改める」、「更に習得しなければならない新たな能力に気づきを得る」など、研修等の職場を離れた時間を確保し、論理的に方法論を学ぶ場を設ける事で、具体的な方法論を学び、個々の力に磨きをかけていく視点です。

 

この当ブログのSTEP3では後者の中でも、利益創出に関する売場のマネジメントに焦点をあて「粗利ミックス・相乗積」についてお話を進めてまいります。

STEP4で扱う内容も同様ですが、これを知らずにやっているという事は、車の運転に例えると、見るべきものを見ないで運転しているイメージです。さしずめ「ドアミラーや、バックミラーを見ていない」という感じです。

自転車であれば、動かすことができればなんとかなるかもしれませんが、自動車の場合はそうはいきませんよね。安全かつ効果的に運転できるよう抜けもれなく、力をつけていきましょう。

 

では【粗利ミックス・相乗積】について考えていきましょう。

 

 

■利益は、単品粗利の積み上げ

 

STEP2では主に商品ロスについて説明をしてきました。これは積み上げた粗利額のマイナス要素を防ぐアクションを徹底することで、手元に残る利益が減らないようにする対策です。言い換えれば、引き算を減らしてプラスに転じさせる手法です。

 

STEP3は、「粗利額をより多く積み上げるには…?」というアプローチです。売上をアップ(=客数・客単価を上げる)が、お客様からの支持のバロメーターだとしたら、粗利額の確保は、メンバーの売場マネジメントのバロメーターといえます。

いうなれば客数や、買い上げ点数が一定だった時に、どのように粗利額を高めていくかという取り組みです。

本編では二つの視点について触れていきます。ひとつは、フェイス構成について、もうひとつは、販促等で価格変動のある生活消費財に関する価格設定の考え方です。

単品当たりの粗利額を考え、これらの視点でアプローチすることで、確保される粗利を計画することができるようになります。検証を繰り返し、改善をするための基本といえる項目です。

 

 

■フェイス設計と相乗積

一定面積毎に、販売計画を立案し、売り上げに対しどの程度の粗利額を高めることができるかを考えていきます。

 

以下に店舗の様子をイメージした、事例ケースを示します。

一緒に考えてみましょう。

 

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【例:トマトの事例】

青果売り場で働く二人が、明日のトマトの売場つくりについて議論をしています。

二人は以下の情報をもとにプランを検討しています。あなたが上長だったとしたらどちらの案を採用しますか?

 

 ■情報

売場:10フェイス

扱いアイテム数

アイテム名

価格

1日平均の販売数

アイテム:あ

 

60個

アイテム:い

 

30個

アイテム:う

 

10個

 

 

 2人のメンバーは以下のプランを立てていました。

 

 

 

【先輩社員Aさんの回答】 

意見:3アイテムあるので、おおよそ均等に配分しました。

1フェイス分がぴったり割り切れなかったので

最も売れ筋の「あ」のフェイスを1フェイス多くしました。

 

 

【後輩社員Bさんの回答】 

意見:売上数量に合わせて按分してみました。

データを活用してメリハリをつけて配分してみました。

 

 

いかがでしょうか?あなたが上長だったらどちらの案を採用しますか?

私の感想としては、感覚的に売場を想像したらAさんのプランでも妥当な気がします。一方で、論理的に思考をするとBさんのプランにも合理性を感じます。…といった初見です。

 あなたならどう判断するでしょうか?

 

 

…さて、もし実際に私が上長ならばどちらもダメだしです。その根拠は、検討している要素が不足しているからです。この情報をベースに議論しているとしたら両者のも今後の成長には、時間がかかる気がします。かなり遠回りをしています。

 私が上長だったら両者にこんなことを伝えます。

 

「二人の意見はどちらもわかります。

Bさんはデータを活用してフェイスを拡縮したプランである為、売れ筋である【あ】がより販売を伸ばす可能性があるね。

Aさんの意見も、後輩に説明するには、やや言葉が不足していますが、日々の仕事でも曜日や天候でお客様の買い方が変化していることを考慮して途中でフェイスを修正していますので、開店時はおおよそイーブンのフェイス構成にするプランになっているということでしょう。このやり方は豊富な経験が必要になりますので、キャリアのあるAさんならでは、という感じでしょう。

いずれにしてもどちらも検討するには条件設定が、アイテム毎の平均日販(一日あたりの売り上げ数量)だけでは項目が不足しているように感じます。ほかにどんなデータを考慮したら、より合理的に考える事ができるか項目をあげて見てもらえますか。事前に検討すべき情報を整理して、考え方を議論しより精度を高めていきましょうか。

今日のところは、私が知っている情報も加味し、「5:3:2」で二人の中間のプランでいきましょう。明日の売り上げ状況を見て、どんな項目を考えたら良いか考えてふたりとも意見をあげてください。来週もう一度今後の取り組み方について考える時間をとります。それまでは今日のように、2人が素案を考え、3人で決めていきましょう。」

 

こんな感じでしょうか。

狙っていることは大きく3点です。

基本的には検討項目を整理し、どの情報がどのように確保できるのかを理解しさせたいというのがひとつ。

2つ目は、型にはめるという方法もありですが、状況は常に変化するため、どんな項目を検討しなければならないかを自律的に考える習慣をつけること。

3つ目に具体的な方法論のレベルを高めることです。

 

次回はこの二人に指導をしていくイメ―ジで、実際の方法論を検討していきます。

その間、是非皆さんも考えてみてください。

 

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