万引き対策等による商品ロスを防止する私服による店内保安警備の専門会社株式会社 日本保安(千葉県千葉市中央区)

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第23話 チェーンオペレーションにおける個店戦略➄

 2020/02/16

皆様、ご無沙汰しております。
少々時間があいてしまい失礼致しました。

 

さて、前回にテーマは、
3C分析の一角を担う、
「Customer=顧客」でした。
メインターゲットの絞りこみの話と合わせて
ペルソナ分析について触れています。

 

年代等の人口統計的データを基に顧客を絞るのではなく、
店舗の使い分けを考えた、利用シーン別に捉えることが
有効であることを説いています。
地域に住むお客様の●●なワンシーンに対して
特化して品揃えする…と捉える事で活用がしやすくなります。

 

この際、良く質問があがるのが、
「そのワンシーンのみに絞り込んで特化して大丈夫なのか?」
…という内容です。
新店でそのマーケットが肥沃であれば
答えが「YES」であることも
可能性としてはあります。

 

一方で、既存店であれば、私の回答は「NO」です。
既にお客様がついている既存店では
「この店は●●だ」という認識ができています。
使い分けのシーンでの特化を含む
メインターゲット絞りこみを考えている際に、
こういった考え方をすると、
絞り込みのテーマ外のお客様の
激しい離反を招き、
新たなお客様が定着するまでの間の
業績悪化を招き耐えきれません。
そういった意味では
「業態として基本となる品揃え」
は堅持する必要があります。

 

ではどうするか…?
ということで言えば、
全体の一定割合の品揃えを
メインターゲット向けにしていくことで
狙った顧客に対し特化させていくことが有効です。

 

事例をあげると、アメリカのある百貨店では
3割特化という方針を打ち出して成功していました。
業態としての基本アイテムは崩さず、
全体の3割まで特徴ある品揃えをすることで
顧客にその特色が認知される…という戦略で
顧客の支持の獲得に成功しています。

 

実際に3割のアイテムを特化しようとすると、
かなりのウェイトです。
そこまで到達することができなかったとしも、
目標値として一定の割合を目指していくことで、
顧客に認知されればOKです。
その際、特化したコーナーを作るのではなく、
各売場カテゴリー内でテーマにあった
アイテムを揃えていくことが重要です。
お客様がどこのコーナーに行っても、
自分向けの商品がラインナップとして
揃えられている状況を作ることがポイントとなります。

 

さて、こういったことを考えていく際に、
こんなタイプのお客様に愛用してもらえたら最高だ!
というキャラクターイメージを
具体化したものがペルソナです。
仮想キャラクターを構想していけば良いのですが、
イメージに合う著名人がいればそれでもOKです。
できるだけ具体的に項目をあげてください。

 

次にペルソナのメインターゲット化を行います。
例えば芸能人で設定した場合、
その人物がもつ具体的な生活スタイル等の中で、
自店を活用してもらうための
MUSTな要素とそうでない要素に分類していきます。
この際にMUSTとして残った項目が
メインターゲットとしての要素となります。

 

このMUST要素を持った人に対して
品揃えの特徴を出していき、
支持されることができればOKです、
近しい条件を持った人へも支持が広がり、
徐々に似たタイプのお客様が増えていきます。

実際に新たなお客様が
ついてきてくれるまでには
少し時間がかかります。
この間は特化できていない
品揃え部分で踏ん張り、
業績をつないでいく必要がありますので
注意が必要です。

 

このようにペルソナとメインターゲットを
つなげて考えていくことで、
思考がリンクしていきます。
新たに支持を受けたいメインターゲットのイメージが
単独であればこちらに集中、
複数あるようであれば、
それぞれの顧客に対し
現状の品揃えが特化することが
できているかどうかを検証し、
バランスを取っていけばOKです。

 

さて、Customerについてはこの辺りにして、
次回は3C分析の「Competitor」と「Company」に
テーマを進めて参ります。

引き続きよろしくお願い致します。

 

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【 筆者プロフィール 】

株式会社 せんだ兄弟社 代表取締役  専田 政樹(HP https://kyodaisha.com)

株式会社 日本保安 店舗支援PJ担当シニアコンサルタント

学校法人産業能率大学総合研究所 兼任講師・パートナーコンサルタント

(一社)日本ダイバーシティ・マネジメント推進機構認定ダイバーシティコンサルタント

7&iグループ出身、小売業歴20年の中小企業診断士  

店舗運営管理、販売スタッフ教育等を経験後、グループ内事業会社へ転籍し、

小売業から製造小売業への転換を目指す新商品開発部門でSV、VMD、マーケティング、プロモーション企画等を担当し、外部専門職のマネジメント業務等に従事。  

その後、管理部門責任者を務め、営業利益▲3%から、1年で+0.5%に改善した実績を持つ。

「次代を担う子供たちに【明るい未来】と【豊かな社会】を託す」事を志に独立開業。

2017年3月、企業の人に関する支援を行う㈱せんだ兄弟社を設立。

組織人事、各種制度構築、業務改善、人材育成などを事業領域として活動中。

→プロフィール詳細

http://www.nihon-hoan.co.jp/column/2017/04/%E2%96%A0%E5%9F%B7%E7%AD%86%

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第22話 チェーンオペレーションにおける個店戦略④

 2019/05/28

STEP5 地域のお客様に迫る④

 

さて、今回は前回の続きです。

3C分析におけるカスタマー(顧客)、
コンペティター(競合)、カンパニー(自社)の
3つの要素を分析する際の1つ目、
カスタマーについてです。

メインターゲット、サブターゲットというように、
マーケティングでいう標的顧客を設定し、
施策を連動させていく考え方を活用するのですが、
この時、ターゲット像を明確化する為に、
より具体的なお客様イメージを構想し、
1つ1つの施策がそのお客様に響くかどうかを
検証するペルソナ分析が有効です。
定量的(年齢、性別、収入…)な要素に留まらず
ライフスタイル、趣味、趣向など
様々な要素を具体的に構想していきます。
まずもってこんな人に支持されたいという
ど真ん中のストレートをイメージします。

 

一方で小売業において、
ペルソナ分析を苦手とする業態は
正直多いのではないでしょうか?

なぜならば日本の小売業発展の過程において
立地産業として発展を遂げた経緯や、
経済発展の中で市場の成長を
背景にしてきたことが挙げられます。

店規模に応じて出店時に半径◯メートルを制圧し、
そのエリアで地域1番店を目指したのです。
その結果、ターゲットは地域住む人すべてとなり、
特に総合量販店では、
衣食住全ての品をワンストップで
購入してくださるお客様を
メインターゲットとしました。

 

一方、時代の発展とともに状況は変わりました。
皆様がお客様の立場で考えたときに、
衣食住をある一店舗でしか買わない、
というイメージがわくでしょうか?
既にそのようなことはあり得ない時代になりましたが、
かつての成功体験から脱却できない業態になるほど、
今回のテーマであるペルソナ分析を苦手とします。

 

差別化をするためには、ターゲット像を絞り込み、
ライフスタイルに沿って品揃えを深く狭く絞り込み、
生活シーンに合わせて使い分けていただく必要がありますが、
かつての体験から絞り込むことが
客層を減らし店舗が支持を
失ってしまうのではないかと誤解をしているのです。

 

ターゲットを絞るという発想をしたときに、
最も安易なのは定量的な絞り込みです。
年代、性別といった類いですね。

 

これをやるとたしかにそうなります。

 

一方、誰もが抱える生活の中の
「●●なシーン!」に絞り込めば、
誰もがターゲットとなります。

あっこんな時は、あの店を使おう…
と感じてもらえるように設定するわけです。
これが上手くできないと、
削り込みとなってしまい
ますます業績は下降する恐れがあります。

 

物事捉え方ひとつで方向は
大きく変わってきます。
フレームワークの使いこなしが
難しい理由のひとつですね。

 

次回はもう少し具体的な方法論に迫っていきます。

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【 筆者プロフィール 】

株式会社 せんだ兄弟社 代表取締役  専田 政樹(HP https://kyodaisha.com)

株式会社 日本保安 店舗支援PJ担当シニアコンサルタント

学校法人産業能率大学総合研究所 兼任講師

一般社団法人インターナショナルバリューマネジメント協会 理事

一般社団法人日本ダイバーシティ・マネジメント推進機構認定ダイバーシティコンサルタント

7&iグループ出身、小売業歴20年の中小企業診断士  

店舗運営管理、販売スタッフ教育等を経験後、グループ内事業会社へ転籍し、

小売業から製造小売業への転換を目指す新商品開発部門でSV、VMD、マーケティング、

プロモーション企画等を担当し、外部専門職のマネジメント業務等に従事。  

その後、管理部門責任者を務め、営業利益▲3%から、1年で+0.5%に改善した実績を持つ。

「次代を担う子供たちに【明るい未来】と【豊かな社会】を託す」事を志に独立開業。

2017年3月、企業の人に関する支援を行う㈱せんだ兄弟社を設立。

組織人事、各種制度構築、業務改善、人材育成などを事業領域として活動中。

→プロフィール詳細

http://www.nihon-hoan.co.jp/column/2017/04/%E2%96%A0%E5%9F%B7%E7%AD%86%

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第21話 チェーンオペレーションにおける個店戦略③

 2019/02/22

STEP5 地域のお客様に迫る③

 さて、今回は前回お話した3C分析の続きとなります。簡単におさらいをします。

3Cとは以下の3つの要素の頭文字をとっています。

  ①:Customer=顧客

  ②:Competitor=競合

  ③:Company=自社

 若干表現のバラつきはある事がありますが、おおよそはこの3つとなります。自社の想定するお客様に対し、競合と対比して優位な状況にあるか、もっと言えば差別化された状況にあるか…を客観視し、戦略の有効性を検証したり、修正したりする場合に用います。もちろん初期の戦略立案時にも有効といえます。

 

 さて、一方で前回も少しお伝えしましたが、こういったフレームワークについてやってみたけど、効果がないとか、役に立たない…といった声を聴くのも実態です。上手く使いこなすにはいったいどうしたら良いのでしょうか…

 

 私自身も、実際に初めは今一つ上手く使いこなせない事が多く、疑問を感じた事も多々ありました。

 そういった中で、ある先生から、こんなことを教えていただきました。要点をまとめるとこんな感じです。

「経営戦略の理論や、マーケティングなどにおけるフレームワークが多々あるが、そのまま使えるわけではない。なぜならば、経営を研究している研究者が、成功している企業を分析した結果、どうやらこんな方法で成功しているらしい…というものを形式化し、一般化したものだからだ。つまり、成功企業がその時代の外部環境のもとで、事業展開した商品サービスがこの方法で上手くいった…というものであり、同様の方法を活用する事で成功を収める事ができた事例を確保する事ができたにすぎない。そう考える事ができれば、外部環境の違い、もっといえば時代が異なり、事業展開する商品サービスが異なる場合に、そのまま使って必ずうまくいくわけではない事は明白である。一方で成功事例があるということは成功可能性が高いということであり、状況にアジャストすることができれば有効活用する事ができる可能性は高いともいえる。要はいかにカスタマイズして使いこなす事ができるかがポイントである」

 この話を聞いてから私の場合は、いかに使いこなすかを考えるようになりました。特にフレームワークどうしを掛け合わせて、分析ポイントを整理しながら活用することにトライすることで徐々に上手くなっていきました。

 

 今回の3C分析ですが、私自身が活用する際のコツとして掛け合わせているのフレームが二つあります。

 ひとつはペルソナ分析です、これは①のCustomer=顧客と掛け合わせます。抽象的になりやすいターゲット論を具体化する為に、その内容を突き詰める効果があります。

 もう一つはマーケティングミックスです。これは②Competitor=競合、③Company=自社を掛け合わせます。商品、価格、流通、販促の要素で競合と自社を比較する事で、顧客に対する優位性を項目別に比較します。また各要素が串刺しされて効果がでているかどうかを検証します。

 大きく分類すると、分析の方向性を示したフレームと比較する項目を明確化したフレームがあります。SWOT分析などに代表するのが前者、マーケティングミックスや、7S分析などが後者です。方向性を示すフレームを単独で示すと項目が散漫になりやすく並べ立てたがよくわからないということになりやすくなります。その為、比較する項目を明確化する事で効果を固める事ができます。その際に何を選択するかが重要なポイントなり、SWOTの事例でいえば営業や販売戦略ならマーケティングミックスを、組織人事戦略なら7Sという感じです。

 

 いかがでしょうか。3C分析を実施する際に、効果を高めるには、顧客を具体的に設定する事と、今日と自社の優位性を分析する為の項目の整備が重要です。

 皆さんも是非、自社の差別化の程度を比較する為にどの項目を比較すると有効かを考えながら活用してみてください。

 

 少し長くなりましたので今回はここまでにして、次回は、ターゲット分析について、ペルソナ分析、メインターゲット、サブターゲットの設定について考えていきます。

 宜しくお願い致します。

 

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【 筆者プロフィール 】

株式会社 せんだ兄弟社 代表取締役  専田 政樹(HP https://kyodaisha.com)

株式会社 日本保安 店舗支援PJ担当シニアコンサルタント

学校法人産業能率大学総合研究所 兼任講師

一般社団法人インターナショナルバリューマネジメント協会 理事

一般社団法人日本ダイバーシティ・マネジメント推進機構認定ダイバーシティコンサルタント

7&iグループ出身、小売業歴20年の中小企業診断士  

店舗運営管理、販売スタッフ教育等を経験後、グループ内事業会社へ転籍し、

小売業から製造小売業への転換を目指す新商品開発部門でSV、VMD、マーケティング、

プロモーション企画等を担当し、外部専門職のマネジメント業務等に従事。  

その後、管理部門責任者を務め、営業利益▲3%から、1年で+0.5%に改善した実績を持つ。

「次代を担う子供たちに【明るい未来】と【豊かな社会】を託す」事を志に独立開業。

2017年3月、企業の人に関する支援を行う㈱せんだ兄弟社を設立。

組織人事、各種制度構築、業務改善、人材育成などを事業領域として活動中。

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第20話 チェーンオペレーションにおける個店戦略②

 2019/01/20

STEP5 地域のお客様に迫る②

 さて、今回からは個店戦略がテーマです。チェーン展開を行う小売業にとって、店ごとに抱える地域特性を掴み、提供する商品サービスにおいて独自対応をとる事で、お客様の期待に応えていく事は非常に重要な要素です。一方で前回お話をしたように、その実行難易度が高まり、多くはノウハウとして確立していない状況にあります。かくいう私も店舗にいた際は、開店時調査の資料等は見た事はあるものの、あくまで調査結果であり、そのノウハウについて教育や伝承を受けた事はありませんでした。

 

 こういった現状から、店長養成研修やBY育成研修といったコースでも必ず取り入れているのがエリアマーケティングに基づく個店戦略の立案です。 

 実際の店舗で多く行われているのは、品揃え調査による欠落アイテムの補完や、価格調査によるプライス対応などがあげられるでしょう。こいった戦術面(どのように戦うか)については個々の担当領域ごとの対応がなされますが、戦略面(どこで戦うか)という点については論じられていないケースが多くなっています。

 その原因として、かつてモノが不足した売手市場時代は、同業態(食品スーパー同士、GMS同士など)の中で地域1番店になる事が重要でした。そして1番でいる事ができる商圏範囲をいかに広く保つかという事が重要であった為、包括的な品揃えをしていく事が重要な要素でした。こういった意味で欠落やプライスに気を配る事がポイントでした。当時の大店法による規制で店舗面積が一定程度に制限されていたこともあり、品揃えを行う為の面積が限られていた為、同一業態同士の戦いとなりやすかったこともあり、極端な言い方をすれば、そこまで複雑な状況ではありませんでした。

 大店立地法が施工された後、店舗の大型化や出店増によるオーバーストア現象となり、激しく状況が変わっていきました。競合店が増加する事により、各店とも商圏範囲が狭まっていった結果、限られた商圏面積において売上を高める必要が高まり、結果としてこれまで取り扱いのなかった商品ジャンルの品揃えを拡充しています。ドラックストアで食品の扱いが拡大されたり、コンビニで生鮮食品を扱うようになったり…という状況です。

 その結果として、お客様は自身の活動エリアの中であらゆる業態、店舗の中からその時々の状況にあわせて都合の良い店舗を選んで使う事ができるようになっています。お客様により多くお店を活用してもらおうとするならば、お店の使い分けの中で、どのように自店を使ってもらうと良いのか(お客様に都合が良いのか)をわかりやすく伝えていく事が重要になります。「あの店って●●がいいよね。■■な時はついついあの店で買い物をしてるな。」というイメージです。 

 その為、どのような店なのか、他の店と比較しどこが優れているのかを意図的に作り込み、よりわかりやすく表現しなければなりません。その為、個店戦略を立案し、店内活動において意識的に表現をしていく事が重要となるのです。 

 では、個店戦略をたてる為には、具体的にどのようなアクションを起こしていけばよいのでしょうか。戦略フレームは様々なものがありますが、初めに実施するという意味では「3C分析」をお勧めします。有名はフレームワークである為、ご存知の方も多いと思います。分析項目は以下の3つに分かれます。「①Customer=顧客、②Competitor=競合、③Company=自社」です。

 ①では商圏内のお客様を客観的に分析します。全ての人(住民)と実際に店舗を活用してくれている顧客を分析し、そのギャップを炙り出しておくことが重要です。支持層と非支持層の違いを図る事で自社がどのように解釈されているのか仮説をたてる為の要素の一つとなります。 

 ②では競合を、③で自社を分析し相互に客観視し、そのギャップを炙り出します。①であげたお客様にとって、競合と自社がどのような商品サービスを提供しているのかを分析し、勝ちたいポイントで優位性を保てているかどうかを考えていきます。

 勝てる状況になっていなければ、勝つポイントを設計する必要がありますし、勝つポイントが狙い通りになっているのであれば、次はそれがお客様にしっかりと伝わっているかを考えていきます。この次の段階では、目指す勝ち方が正しい(お客様にとって魅力的か、市場サイズとして適正なサイズか)かどうかを考えていく必要があるわけですが、まずは現状の施策がお客様に正しく伝わっていなければ良いか悪いかも判別する事はできません。

 一方でこんな声も良く伺います。3C分析ならやった事があるけど、良い効果はでなかった…というご意見です。フレームワークを活用する際によく聞くご意見です。有名なSWOT分析などもこういった声をよく聴きます。今回のケースも同様ですが、このフレームワークをやるといいよ…と言われて実行すると、そもそも何の為にやるフレームワークなのかをわからずに実践してしまう為、効果的な分析にならないパターンに陥りやすくなります。

 今回の3C分析の場合は、自分達が勝ちたいポイントで勝つことができているかを検証する事が狙いです。その為、そもそもどう勝ちたいか(どのようなお客様にどのように思われたいか)が不明確な状況では効果は上がりません。逆に分析が上手くいかなければ、そのポイントが不明確であった事があぶりだされます。その場合改めて、この戦略で戦ってはどうかという仮説を立て改めて分析し、勝ちパターンとする事ができるのかを考えていきましょう。

 次回は①②③を分析する際に、どのようなポイントに着目していくかをテーマとしていきます。ここが見えてくると「3C分析」を活用した戦略立案につなげる事ができるようになっていきます。自店舗の場合はどこに着目をすべきか、一緒に考えていきましょう(^^♪

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【 筆者プロフィール 】

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その後、管理部門責任者を務め、営業利益▲3%から、1年で+0.5%に改善した実績を持つ。

「次代を担う子供たちに【明るい未来】と【豊かな社会】を託す」事を志に独立開業。2017年3月、企業の人に関する支援を行う㈱せんだ兄弟社を設立。

組織人事、各種制度構築、業務改善、人材育成などを事業領域として活動中。

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第19話 チェーンオペレーションにおける個店戦略①

 2018/11/28

STEP 5    地域のお客様にせまる

 

さて、今回からは「STEP5 地域のお客様にせまる」に入って参ります。

 

 弊社の状況として、本年度は各社様より様々なコンテンツで研修のご依頼をいただきました。例えば、店長養成系や新人育成系などの階層別タイプ。或いは、商品部員育成、商品開発といったマーケティング系タイプ。また問題解決やビジネスコーチング系のスキルタイプなどなど各社様の状況に応じ教育ニーズは多岐に渡りました。

 

 その中で、小売業界向け…という意味ではかならず扱うのが、今回のタイトルである「個店戦略」です。

 

 近年では個店与件に全く配慮せず、完全に全店のオペレーションを統合する形で、効率を高め成功を収めているケースもでておりますが、多くの場合は企業(屋号単位くらいが最も多いでしょうか)の全体戦略に沿って、個店マーケットにアジャストさせる事で、地域のお客様に貢献していくスタイルなのではないでしょうか。

 

 大店法から大店立地法に変わった際に起こった店舗の大型化や、その後の坪効率の悪化(生産性の低下)から小型店化が進むなど、時代に合わせた様々な戦略展開の中で、店舗フォーマットのバラつきがあったり、出店エリアの商圏特性や住民特性が異なったりする事が主たる要因でしょう。

 

 一方で、バブル崩壊以降、収益性が低下し業界全体が小さな本部での事業運用を求められてきた中、個店毎の状況の違いをセントラル形式でグリップする事は難しく、現実的には店長を中心とした店舗メンバーが、その対応に迫られているのが実情ではないでしょうか。

 

 ところが店舗の方も、少ない人員での効率的な運用を迫られており、役職者も店舗オペレーションのフォローに入る等のサポート活動に手を取られ、地域を分析したり、根本的な品揃えを考えたりする時間がとれない…というのも苦しい実態です。

 

 私自身、店舗運営管理を担っていたころは、同様の状況でしたし、実際に分析しようとした際に、方法論が確立していない為、手探り状態からのスタートでした。手法についてはまさに暗中模索といった感じでした。手数不足の中で、手法が不明確であるとますます手を付けにくくなる…実態はそんな感じでした。

 

 また市場全体の傾向としてPB化が進んでいることも、「個店戦略」という意味では「若手層の成長」を阻んでいます。組織内にいると、社内情勢の中、こういった発言はしにくい部分もありますが、外から客観的にみていると、PB化によって若手の店舗運営管理力や、エリアマーケティング力は低下していると言わざるを得ない状況です。

 

 具体的に申し上げれば、企業として投資を行い、在庫リスク等をもって、開発をした商品は、地域に合っていようが、合ってなかろうが、全店で売り込む事が求められるケースが非常に多くなっています。結果として、現場から見ると商品は次々にオリジナルのものが送り込まれて来る状況となります。また、NB商品もPBに対抗して価格訴求の展開が増加しており、その際は量をもって展開する事が前提となりやすい為、こちらも商品が大量に送り込まれます。市場そのものが、かつてのような売り手市場ではない事もあり、店舗は商品であふれ、店舗メンバーは送り込まれたものを、いかに消化させるかが、重要な仕事となっていきます。

 

 かつては、自店でどれだけ地域で支持される売れ筋商品をおさえるか、また地域で支持される品揃え(商品ラインアップ)を構築する事が重要な仕事でしたが、徐々に政策商品を売り込む事へのウェイトが高まっています。言い換えれば、送り込まれた商品を消化させる事に懸命にならざるを得ない状況とも言えるかもしれません。

 

 結果として「地域商圏にせまる」機会が減少し、若手は伝承をうけることができず組織としてノウハウを喪失していく傾向が高まっています。

 

 その為、私が担当する研修では、店長養成であっても、若手向けで合っても難易度こそ違えど「個店戦略立案」を入れています。基本的なフレームワークとも言えます。

 一方ベテラン層を中心に、かつて実際にやってみたが、使いこなすのが難しく、やっても意味を感じない…という経験をうかがうケースも多々あります。よくよく聞くと、使い方が漠然としている事を原因に、上手く使いこなせていないパターンが多くなっています。実際に上手く活用するポイントはフレームの中に中項目、小項目を設定することなのですが、これが我流だとなかなか掴めず、実際に使いこなした人しかやり方をしらないのです。

 

 次回以降は、いくつかのフレームワークと合わせて、上手く活用する為にはどのように使ったらよいのかを紹介していきたいと思います。使い方を変えると、一般フレームワークでも有効に扱う事ができます。次回は具体的な内容についてお伝えしていきます。宜しくお願い致します。

 

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