万引き対策等による商品ロスを防止する私服による店内保安警備の専門会社株式会社 日本保安(千葉県千葉市中央区)

店舗お役立ち情報

第20話 チェーンオペレーションにおける個店戦略②

 2019/01/20

STEP5 地域のお客様に迫る②

 さて、今回からは個店戦略がテーマです。チェーン展開を行う小売業にとって、店ごとに抱える地域特性を掴み、提供する商品サービスにおいて独自対応をとる事で、お客様の期待に応えていく事は非常に重要な要素です。一方で前回お話をしたように、その実行難易度が高まり、多くはノウハウとして確立していない状況にあります。かくいう私も店舗にいた際は、開店時調査の資料等は見た事はあるものの、あくまで調査結果であり、そのノウハウについて教育や伝承を受けた事はありませんでした。

 

 こういった現状から、店長養成研修やBY育成研修といったコースでも必ず取り入れているのがエリアマーケティングに基づく個店戦略の立案です。 

 実際の店舗で多く行われているのは、品揃え調査による欠落アイテムの補完や、価格調査によるプライス対応などがあげられるでしょう。こいった戦術面(どのように戦うか)については個々の担当領域ごとの対応がなされますが、戦略面(どこで戦うか)という点については論じられていないケースが多くなっています。

 その原因として、かつてモノが不足した売手市場時代は、同業態(食品スーパー同士、GMS同士など)の中で地域1番店になる事が重要でした。そして1番でいる事ができる商圏範囲をいかに広く保つかという事が重要であった為、包括的な品揃えをしていく事が重要な要素でした。こういった意味で欠落やプライスに気を配る事がポイントでした。当時の大店法による規制で店舗面積が一定程度に制限されていたこともあり、品揃えを行う為の面積が限られていた為、同一業態同士の戦いとなりやすかったこともあり、極端な言い方をすれば、そこまで複雑な状況ではありませんでした。

 大店立地法が施工された後、店舗の大型化や出店増によるオーバーストア現象となり、激しく状況が変わっていきました。競合店が増加する事により、各店とも商圏範囲が狭まっていった結果、限られた商圏面積において売上を高める必要が高まり、結果としてこれまで取り扱いのなかった商品ジャンルの品揃えを拡充しています。ドラックストアで食品の扱いが拡大されたり、コンビニで生鮮食品を扱うようになったり…という状況です。

 その結果として、お客様は自身の活動エリアの中であらゆる業態、店舗の中からその時々の状況にあわせて都合の良い店舗を選んで使う事ができるようになっています。お客様により多くお店を活用してもらおうとするならば、お店の使い分けの中で、どのように自店を使ってもらうと良いのか(お客様に都合が良いのか)をわかりやすく伝えていく事が重要になります。「あの店って●●がいいよね。■■な時はついついあの店で買い物をしてるな。」というイメージです。 

 その為、どのような店なのか、他の店と比較しどこが優れているのかを意図的に作り込み、よりわかりやすく表現しなければなりません。その為、個店戦略を立案し、店内活動において意識的に表現をしていく事が重要となるのです。 

 では、個店戦略をたてる為には、具体的にどのようなアクションを起こしていけばよいのでしょうか。戦略フレームは様々なものがありますが、初めに実施するという意味では「3C分析」をお勧めします。有名はフレームワークである為、ご存知の方も多いと思います。分析項目は以下の3つに分かれます。「①Customer=顧客、②Competitor=競合、③Company=自社」です。

 ①では商圏内のお客様を客観的に分析します。全ての人(住民)と実際に店舗を活用してくれている顧客を分析し、そのギャップを炙り出しておくことが重要です。支持層と非支持層の違いを図る事で自社がどのように解釈されているのか仮説をたてる為の要素の一つとなります。 

 ②では競合を、③で自社を分析し相互に客観視し、そのギャップを炙り出します。①であげたお客様にとって、競合と自社がどのような商品サービスを提供しているのかを分析し、勝ちたいポイントで優位性を保てているかどうかを考えていきます。

 勝てる状況になっていなければ、勝つポイントを設計する必要がありますし、勝つポイントが狙い通りになっているのであれば、次はそれがお客様にしっかりと伝わっているかを考えていきます。この次の段階では、目指す勝ち方が正しい(お客様にとって魅力的か、市場サイズとして適正なサイズか)かどうかを考えていく必要があるわけですが、まずは現状の施策がお客様に正しく伝わっていなければ良いか悪いかも判別する事はできません。

 一方でこんな声も良く伺います。3C分析ならやった事があるけど、良い効果はでなかった…というご意見です。フレームワークを活用する際によく聞くご意見です。有名なSWOT分析などもこういった声をよく聴きます。今回のケースも同様ですが、このフレームワークをやるといいよ…と言われて実行すると、そもそも何の為にやるフレームワークなのかをわからずに実践してしまう為、効果的な分析にならないパターンに陥りやすくなります。

 今回の3C分析の場合は、自分達が勝ちたいポイントで勝つことができているかを検証する事が狙いです。その為、そもそもどう勝ちたいか(どのようなお客様にどのように思われたいか)が不明確な状況では効果は上がりません。逆に分析が上手くいかなければ、そのポイントが不明確であった事があぶりだされます。その場合改めて、この戦略で戦ってはどうかという仮説を立て改めて分析し、勝ちパターンとする事ができるのかを考えていきましょう。

 次回は①②③を分析する際に、どのようなポイントに着目していくかをテーマとしていきます。ここが見えてくると「3C分析」を活用した戦略立案につなげる事ができるようになっていきます。自店舗の場合はどこに着目をすべきか、一緒に考えていきましょう(^^♪

////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

【 筆者プロフィール 】

株式会社 せんだ兄弟社 代表取締役  専田 政樹(HP https://kyodaisha.com)

株式会社 日本保安 店舗支援PJ担当シニアコンサルタント

学校法人産業能率大学総合研究所 兼任講師

一般社団法人インターナショナルバリューマネジメント協会 理事

一般社団法人日本ダイバーシティ・マネジメント推進機構認定ダイバーシティコンサルタント

7&iグループ出身、小売業歴20年の中小企業診断士  

店舗運営管理、販売スタッフ教育等を経験後、グループ内事業会社へ転籍し、

小売業から製造小売業への転換を目指す新商品開発部門でSV、VMD、マーケティング、プロモーション企画等を担当し、外部専門職のマネジメント業務等に従事。  

その後、管理部門責任者を務め、営業利益▲3%から、1年で+0.5%に改善した実績を持つ。

「次代を担う子供たちに【明るい未来】と【豊かな社会】を託す」事を志に独立開業。2017年3月、企業の人に関する支援を行う㈱せんだ兄弟社を設立。

組織人事、各種制度構築、業務改善、人材育成などを事業領域として活動中。

→プロフィール詳細

http://www.nihon-hoan.co.jp/column/2017/04/%E2%96%A0%E5%9F%B7%E7%AD%86%

/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

 

第19話 チェーンオペレーションにおける個店戦略①

 2018/11/28

STEP 5    地域のお客様にせまる

 

さて、今回からは「STEP5 地域のお客様にせまる」に入って参ります。

 

 弊社の状況として、本年度は各社様より様々なコンテンツで研修のご依頼をいただきました。例えば、店長養成系や新人育成系などの階層別タイプ。或いは、商品部員育成、商品開発といったマーケティング系タイプ。また問題解決やビジネスコーチング系のスキルタイプなどなど各社様の状況に応じ教育ニーズは多岐に渡りました。

 

 その中で、小売業界向け…という意味ではかならず扱うのが、今回のタイトルである「個店戦略」です。

 

 近年では個店与件に全く配慮せず、完全に全店のオペレーションを統合する形で、効率を高め成功を収めているケースもでておりますが、多くの場合は企業(屋号単位くらいが最も多いでしょうか)の全体戦略に沿って、個店マーケットにアジャストさせる事で、地域のお客様に貢献していくスタイルなのではないでしょうか。

 

 大店法から大店立地法に変わった際に起こった店舗の大型化や、その後の坪効率の悪化(生産性の低下)から小型店化が進むなど、時代に合わせた様々な戦略展開の中で、店舗フォーマットのバラつきがあったり、出店エリアの商圏特性や住民特性が異なったりする事が主たる要因でしょう。

 

 一方で、バブル崩壊以降、収益性が低下し業界全体が小さな本部での事業運用を求められてきた中、個店毎の状況の違いをセントラル形式でグリップする事は難しく、現実的には店長を中心とした店舗メンバーが、その対応に迫られているのが実情ではないでしょうか。

 

 ところが店舗の方も、少ない人員での効率的な運用を迫られており、役職者も店舗オペレーションのフォローに入る等のサポート活動に手を取られ、地域を分析したり、根本的な品揃えを考えたりする時間がとれない…というのも苦しい実態です。

 

 私自身、店舗運営管理を担っていたころは、同様の状況でしたし、実際に分析しようとした際に、方法論が確立していない為、手探り状態からのスタートでした。手法についてはまさに暗中模索といった感じでした。手数不足の中で、手法が不明確であるとますます手を付けにくくなる…実態はそんな感じでした。

 

 また市場全体の傾向としてPB化が進んでいることも、「個店戦略」という意味では「若手層の成長」を阻んでいます。組織内にいると、社内情勢の中、こういった発言はしにくい部分もありますが、外から客観的にみていると、PB化によって若手の店舗運営管理力や、エリアマーケティング力は低下していると言わざるを得ない状況です。

 

 具体的に申し上げれば、企業として投資を行い、在庫リスク等をもって、開発をした商品は、地域に合っていようが、合ってなかろうが、全店で売り込む事が求められるケースが非常に多くなっています。結果として、現場から見ると商品は次々にオリジナルのものが送り込まれて来る状況となります。また、NB商品もPBに対抗して価格訴求の展開が増加しており、その際は量をもって展開する事が前提となりやすい為、こちらも商品が大量に送り込まれます。市場そのものが、かつてのような売り手市場ではない事もあり、店舗は商品であふれ、店舗メンバーは送り込まれたものを、いかに消化させるかが、重要な仕事となっていきます。

 

 かつては、自店でどれだけ地域で支持される売れ筋商品をおさえるか、また地域で支持される品揃え(商品ラインアップ)を構築する事が重要な仕事でしたが、徐々に政策商品を売り込む事へのウェイトが高まっています。言い換えれば、送り込まれた商品を消化させる事に懸命にならざるを得ない状況とも言えるかもしれません。

 

 結果として「地域商圏にせまる」機会が減少し、若手は伝承をうけることができず組織としてノウハウを喪失していく傾向が高まっています。

 

 その為、私が担当する研修では、店長養成であっても、若手向けで合っても難易度こそ違えど「個店戦略立案」を入れています。基本的なフレームワークとも言えます。

 一方ベテラン層を中心に、かつて実際にやってみたが、使いこなすのが難しく、やっても意味を感じない…という経験をうかがうケースも多々あります。よくよく聞くと、使い方が漠然としている事を原因に、上手く使いこなせていないパターンが多くなっています。実際に上手く活用するポイントはフレームの中に中項目、小項目を設定することなのですが、これが我流だとなかなか掴めず、実際に使いこなした人しかやり方をしらないのです。

 

 次回以降は、いくつかのフレームワークと合わせて、上手く活用する為にはどのように使ったらよいのかを紹介していきたいと思います。使い方を変えると、一般フレームワークでも有効に扱う事ができます。次回は具体的な内容についてお伝えしていきます。宜しくお願い致します。

 

////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

【 筆者プロフィール 】

株式会社 せんだ兄弟社 代表取締役  専田 政樹(HP https://kyodaisha.com)

株式会社 日本保安 店舗支援PJ担当シニアコンサルタント

学校法人産業能率大学総合研究所 兼任講師

一般社団法人インターナショナルバリューマネジメント協会 理事

一般社団法人日本ダイバーシティ・マネジメント推進機構認定ダイバーシティコンサルタント

7&iグループ出身、小売業歴20年の中小企業診断士  

店舗運営管理、販売スタッフ教育等を経験後、グループ内事業会社へ転籍し、

小売業から製造小売業への転換を目指す新商品開発部門でSV、VMD、マーケティング、

プロモーション企画等を担当し、外部専門職のマネジメント業務等に従事。  

その後、管理部門責任者を務め、営業利益▲3%から、1年で+0.5%に改善した実績を持つ。

「次代を担う子供たちに【明るい未来】と【豊かな社会】を託す」事を志に独立開業。

2017年3月、企業の人に関する支援を行う㈱せんだ兄弟社を設立。

組織人事、各種制度構築、業務改善、人材育成などを事業領域として活動中。

→プロフィール詳細

http://www.nihon-hoan.co.jp/column/2017/04/%E2%96%A0%E5%9F%B7%E7%AD%86%

/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

 

第18話:構成比を使った売場運営④~検証

 2018/11/18

STEP4  3つの構成比で店を操る

 

さて前回は3つの構成比を使った売場での取り組みについて

実践後の検証段階でのお話を致しました。

 

メンバーにとって、一定の基準ができるが、

継続して実践しないと効果が薄い点や、

シーゾナルタイプとステープルタイプの違いなどによる

扱い方法の違いなどについてお伝えいたしました。

 

一方で、継続した実施ができるようになってくると

次の課題にぶつかります。

 

自分の売場の分類方法が根本的にどうなのか?

という壁にぶつかります。

 

小売業における分類にはいくつかのタイプがあります。

まず一つ目が「商品分類」になります。

少し言い方を変えると「商品製造分類」と呼ぶこともできるでしょう。

生活消費材である場合は特にこの傾向が高まりますが、

基本的に商品そのもの事を指しています。

パンなら朝食にしようが、夕食で食べようが同じパンである…

といった具合で、製造工程での分類とほぼイコールになります。

この分類で売場も展開するという方法です。

 

もう一つは、消費者ニーズに合わせた分類で、

「売場展開分類」と呼ばれるタイプです。

お客様の買い方や、認識に合わせて商品を括り

コーナー化して売場を展開していきます。

関連販売やコーディネート販売、ブランド分類といった

訴求力をたかめる事を狙った考え方です。

 

どちらもメリット、デメリットが存在し、

状況に応じてミックスすべきものですが、

構成比管理をしていくと、

程度の差こそあれ、もう一つの分類が

運営を阻害するケースが発生します。

 

それが「データ分類」です。

 

POSの普及が進むにつれて、

過去に比べると、

データ分析をする際の負荷が

だいぶ軽くなってきてはいますが、

構成比データを活用しようとすると、

データ分類と売場の分類が

ある程度近くなっていないと

いちいち手計算で組みなおさなければならない

場面が多発してきます。

 

私自身、この問題にはかなり手を焼きました。

店舗ではシステム上での解決には手が出せず、

手作業の進め方の改善による時短にとどまりました。

本部スタッフとしてシステムの回収時にインタビューを

受ける事ができた機会があり、

この問題についてしっかりとインプットをしましたが、

ヒアリング担当者はその話は既にグリップできていて

改善に向けて動いているとコメントし、

結果でてきたものには全く反映されていない…

という結果が待っていました。

 

製造→仕入→物流→店舗納品といった

工程で進んでいく事を考えると、

小売側の川上が仕入部門である事が多く、

この段階で商品部類と売場展開分類の照合を

真剣に議論をしていかないと、

なかなか改善が進まないのですが、

なかなかこの階層にメスを入れるところまで

手が回らないのが実態です。

 

ここにルーティンで改善アクションを起こす事ができれば

論理的な仕事を推進する事に大いに役立ちますので

可能な企業様は是非トライアルをしていただきたいと思います。

 

店舗レベルで行けば、

限られた時間で、どこまで有効な分析ができるかを考え

絞り込んで分析を実施するのがベストでしょう。

 

編集型の売場を、

どの程度の規模、レベルで実施するか、

つまり、維持継続可能な顧客分類による売場を

どの商品カテゴリーでどのくらい実施するかを

考えていく事になります。

 

構成比管理を突き詰めると、

データ分類と売場展開を一致させればよいのでは?

という話にもなりますが、

目指すべきは顧客に種維持される売場であって

我々が管理しやすい売場ではない…という事です。

ここを間違えると本末転倒になりますので注意が必要です。

 

逆にこの問題が出てくるようになるという事は

メンバーの力がかなり向上してきたことになります。

 

ここまでくれば、

売場の管理がかなり掌に乗ってきた…

といえるでしょう。

 

お客様のニーズに迫る品揃えに向け

着々とPDCAが回るようになっているはずです。

こうなると徐々にお客様からの支持も高まり始めます。

是非継続して3つの構成比を活用した

売場運営にトライしてみてください。  (^^♪

 

 

////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

【 筆者プロフィール 】

株式会社 せんだ兄弟社 代表取締役  専田 政樹(HP https://kyodaisha.com) 株式会社 日本保安 店舗支援PJ担当シニアコンサルタント 学校法人 産業能率大学総合研究所 兼任講師 一般社団法人 インターナショナルバリューマネジメント協会 理事 一般社団法人 日本ダイバーシティ・マネジメント推進機構認定 ダイバーシティコンサルタント

7&iグループ出身、小売業歴20年の中小企業診断士  店舗運営管理、販売スタッフ教育等を経験後、グループ内事業会社へ転籍し、小売業から製造小売業への転換を目指す新商品開発部門でSV、VMD、マーケティング、プロモーション企画等を担当し、外部専門職のマネジメント業務等に従事。  その後、管理部門の責任者を務め、営業利益▲3%から、1年で+0.5%に改善した実績を持つ。

「次代を担う子供たちに【明るい未来】と【豊かな社会】を託す」事を志に独立開業。2017年3月、企業の人に関する支援を行う㈱せんだ兄弟社を設立。組織人事、各種制度構築、業務改善、人材育成などを事業領域として活動中。

→プロフィール詳細http://www.nihon-hoan.co.jp/column/2017/04/%E2%96%A0%E5%9F%B7%E7%AD%86%

/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

 

第17話:構成比を使った売場運営③~検証

 2018/08/24

STEP4  3つの構成比で店を操る

 

さて前回は売場構成比の扱い方についてお話を致しました。

売上構成比、在庫構成比と売場面積の構成比のバランスをとり、

店舗全体の生産性を意図的に高めようという取組です。

 

実際に企業様単位の研修では、

一連の考え方をお伝えした後、ケーススタディを経て、

事後課題として実際に受講者様の担当売場で取り組み、

その結果について分析していただき、

次の研修の際にグループワークで共有をしてもたっています。

 

実際にやっていただく事でいくつかの効果が出てきます。

最も多いのが、やってみてバランスを検証する事ができ、

具体的な改善アクションにつながったというタイプです。

考え方の基準を持つことができたので感覚論ではなくなり、

意図して、経営資源(家賃的な性格)である売場を配賦する事が

できるようになっていきます。

 

また、こんな声もでてきます。

これって今回は課題としてやりましたが、

継続しないと意味ないですよね…というものです。

まさにその通りで、一過性で終わらせてしまうと、

店舗に対する効果は瞬間的に終わってしまい、

ほとんど成果はでてきません。

バランス修正をした後、放置してしまうと

その後に生じる変化でまたズレが生じていきます。

逆に継続して取り組む事で常に補正された状況となり

お客様のニーズにも接近していきます。

その結果、いつも欲しいものがしっかりと展開されている

店舗となり、リピート率も高まっていくのです。

そこに気が付いて継続実践していただければ

他のメンバーとの会話も論理的に、また指導力も高まり、

チームの力も向上していきます。

 

積極的なお声を頂戴した際は、

こんな一言も付け加えます。

 

「慣れるまで時間もかかるから、

一気に無理にやろうとせず、

週に●時間だけ費やすといった限定目標を掲げて

少しずつレベルを上げていけばOKだよ。

継続する事がポイントだから頑張って続けてね。」

といった感じです。

徐々に熟練度を高めていく事をお勧めしております。

 

一方で、マイナスの感想としては、

こんなパターンがあります。

自分の担当の売場は定番管理で、

拡縮の対象とならない為、

・どうしていいかわからなかった…

 ・やっても意味がないのでは…

こう言った声があるのも事実です。

 

皆さんはどうお感じになるでしょうか?

短期的な成果という意味では、

そういった性格の売場があるのは事実です。

きめ細かく週単位で対応する事や、

大きな拡縮がないケースも存在します。

一方でこう言った売場は、

シーズン単位での商品入れ替えの際も、

大型、標準型、小型といった売場の規模や、

売上が高い~低いといった条件で

品揃えが決まっているケースも多く、

最適化にむけたアクションが

起きていない場面も見受けられます。

定番管理だからこそ、シーズン単位で

どのカテゴリーを拡縮するかまで

検討して欲しいものですが、

そもそもそういった前提になっていないのです。

 

こういった売場の場合は

構成比のギャップが発生するタイミングがいつで

どのくらい発生しているのかを日々分析し、

四半期単位や、半期単位など中期スパンで、

どのさじ加減が最適かを、

日々の分析の積み上げから判断する必要があります。

つまり「活用方法が異なる」のあって

「意味がない」行為ではない…のです。

 

 

この取り組みを継続する事が、

メンバーの基本マネジメント力を高め、

売場運営を手の平に乗せていく第一歩となります。

 

3年目くらいのメンバーは是非取組をしてみて

いただきたいと思います(^^♪

 

////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

【 筆者プロフィール 】

株式会社 せんだ兄弟社 代表取締役  専田 政樹(HP https://kyodaisha.com) 株式会社 日本保安 店舗支援PJ担当シニアコンサルタント 学校法人 産業能率大学総合研究所 兼任講師 一般社団法人 日本ダイバーシティ・マネジメント推進機構認定 ダイバーシティコンサルタント 一般社団法人 インターナショナルバリューマネジメント協会 理事

7&iグループ出身、小売業歴20年の中小企業診断士  店舗運営管理、販売スタッフ教育等を経験後、グループ内事業会社へ転籍し、小売業から製造小売業への転換を目指す新商品開発部門でSV、VMD、マーケティング、プロモーション企画等を担当し、外部専門職のマネジメント業務等に従事。  その後、管理部門の責任者を務め、営業利益▲3%から、1年で+0.5%に改善した実績を持つ。

「次代を担う子供たちに【明るい未来】と【豊かな社会】を託す」事を志に独立開業。2017年3月、企業の人に関する支援を行う㈱せんだ兄弟社を設立。組織人事、各種制度構築、業務改善、人材育成などを事業領域として活動中。

→プロフィール詳細

https://www.nihon-hoan.co.jp/column/2017/04/%E2%96%A0%E5%9F%B7%E7%AD%86%

/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

第16話:構成比を使った売場運営②

 2018/08/24

STEP4  3つの構成比で店を操る

 さて、前回に引き続きまして、

構成比を使った売場運営についてお話をしていきます。

まずは売上構成比の使い方を掘り下げていきます。

 

私の場合、売上金額(状況に応じて数量に変更)をベースに

商品分類毎の売上構成比を52週に落とし込む事から分析を始めます。

以前もお話しましたが、売上はお客様の支持のバロメーターである為、

どの時期にどの分類の商品にニーズがあるのかを探る事が狙いです。

もちろん過去データである事はわかっていますので、

その分析にも最終的には一工夫しています。

 

さてこれをやると何がわかるのかというと、

いくつかのポイントがあります。

 

■売れる商品が切り替わった時期が読み取れる

 例1:前年実績で●週目までは、A分類がトップだったが、

    ▲週目にB分類がトップに入れ替わった。

 例2:●週目まで売れていた商品群が、

▲週目以降まったく売れなくなった。

 →大きな変化が発生するポイントを掴む事で、

  売場展開を変更する必要がある時期と、

  どの程度切り替えていくかの仮説を組む事ができるようになる。

 

■売場展開変更のトリガーを読み取る

波動が変化したタイミングで何があったのかを確認し、

今年、どのような状況になったら波動が変わるのか仮説をたてる。

例1:気温が3日連続でおおよそ●度を超えたら売れ行きが変わる

例2:梅雨明けと同時に売れ行きが変わる・初雪と同時に売れ行きが変わる

例3:ある一定の日付で売れ行きが変わる(母の日が終わると…)

 例4:おおよそ●月の頭に、●●会館でイベントがある

 →同じタイミングで変化するものとそうでないものを区分し、

  条件が整ったら次の売場展開に変更できるよう事前にスタッフと打ち合わせする

 

■OTB(Open to Buy)計画に反映させる

 導入期は●週、上昇期が●週ころ、ピークは●週まで、

その後●までに処分する…といった

アイテム別の販売計画立案の仮説につなげ、

在庫コントロールと連動させる事で、

ピーク売り上げの最大化と

値下、廃棄ロスの削減につなげる

 

他にもいろいろありますが、

まず漏らさずやるのはこの3つです。

店舗に所属する人数の絶対数が限られる中、

お客様のニーズにタイムリーに応える売場展開を維持していくためには、

効率的かつ具体的にコミュニケーションを行い、

切り替えのタイミングが来たならば、

指示者が休みであってもスムーズに切り替え作業ができるように

準備を整える必要があります。

 

ひと昔前ならば、「経験と勘」で対応するという事も

ありだったのではないでしょうか。

私の捉え方としては「経験と勘」というのは、

一定程度の熟練をもって、暗黙知を習得したと解釈しています。

説明できないだけで蓄積したノウハウをもって

業務に対応しているという状況です。

 

1人あたりの担当面積が狭く、

充分な人数がいたから成り立った…

という状況だったのではないでしょうか?

今の時代にこの方法を続けていたら、

キャリアの異なるメンバーが、

触れ合う機会がすくない為、伝承が行き渡らず、

お客様のニーズに応えきれない状況が発生し、

支持を打ちなってしまう事でしょう。

 

根拠となる過去データを基に、今年の状況を鑑みると、

  • ●のような仮説が立つので、●●な状況になったら、

速やかにAパターンからBパターンに売場を切り替える

と事前にメンバー同士できめておけば、

その時がきたら速やかに対応できます。

また、更に加えたい情報、条件があれば

メンバーからも提言がしやすくなります。

 

いかがでしょうか?

販売員さん向けの研修でもお伝えしますが、

若手社員さんだと初めてやった…という方も結構多い状況です。

是非一度お試しくださいませ(^^♪

 

////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

【 筆者プロフィール 】

株式会社 せんだ兄弟社 代表取締役  専田 政樹(HP https://kyodaisha.com) 株式会社 日本保安 店舗支援PJ担当シニアコンサルタント 学校法人 産業能率大学総合研究所 兼任講師 一般社団法人 日本ダイバーシティ・マネジメント推進機構認定 ダイバーシティコンサルタント 一般社団法人 インターナショナルバリューマネジメント協会 理事

7&iグループ出身、小売業歴20年の中小企業診断士  店舗運営管理、販売スタッフ教育等を経験後、グループ内事業会社へ転籍し、小売業から製造小売業への転換を目指す新商品開発部門でSV、VMD、マーケティング、プロモーション企画等を担当し、外部専門職のマネジメント業務等に従事。  その後、管理部門の責任者を務め、営業利益▲3%から、1年で+0.5%に改善した実績を持つ。

「次代を担う子供たちに【明るい未来】と【豊かな社会】を託す」事を志に独立開業。2017年3月、企業の人に関する支援を行う㈱せんだ兄弟社を設立。組織人事、各種制度構築、業務改善、人材育成などを事業領域として活動中。

→プロフィール詳細

https://www.nihon-hoan.co.jp/column/2017/04/%E2%96%A0%E5%9F%B7%E7%AD%86%

/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

 

 

第15話:構成比を使った売場運営①

 2018/05/30

STEP4:3つの構成比で店を操る

 

さて今回からSTEP4として構成比をテーマにしたお話をしていきます。

POSデータ等を活用して店舗全体の活性化を図る際に、

指標として使いこなしたいのが、様々な構成比です。

 

例えば、売上を日別、週別等の一定期間ごとに比較分析する際に、

金額べ―スや数量ベースで比較すると、曜日や週の位置づけの差で、

直接比較する事が難しいケースがあります。

 

A分類の売り上げが、

月曜日●●円、水曜日●●円、土曜日●●円、

この状況で比較してもこの結果が良かったのか、

悪かったのかが分析しにくいという事を言っています。

 

昨年同日合わせで比較する、曜日合わせも調整する…

などで調整しながら昨年比で比較をする、

日別に予算設定して予算比で比較をする、

こんな手法もあるでしょう。

 

一方で、日にち合わせでは天候等の与件は合いませんし

予算を組む段階でも、もちろん細かな天候など読めるわけがありません。

そういった意味では不確定要素も多く

実際にどうだったのか、振り返りにくいケースが発生します。

 

こんな時に役に立つのが構成比です。

月曜日の店全体の売上に対し、A分類の売上は25%、

水曜日の店全体の売上に対し、A分類の売上は23%

土曜日の店全体の売上に対し、A分類の売上は35%

といった結果だったらどうでしょう。

 

水曜日は新聞チラシが入って他分類が訴求されたので、

23%に下がったな・・・とか、

土曜日は逆に週末の新聞チラシで訴求したので上がったな・・・

といった検証ができるようになります。

そもそもどのくらいの構成比を目標値としていたのか…

これがないと分析にならないわけですが、

私の場合はここで売場面積構成比と比較しバランスをみる事が多いです。

 

什器8尺(2400mm)3島分の売場を使用して

商品展開をしたから売場は全体の●%使っている…という比率をおさえます。

 

組合せは色々ありますが、

使用した売場面積=投入した経営資源と捉え

売上や粗利がそれに見合った構成比になっているかで比較します。

坪効率を使っているのと近いケースになりますが、

既存の数値を使って簡単に行うイメージです。

 

こういった構成比の使い方を覚えていくと、

短時間で精度の高い分析や、計画立案が可能になります。

 

個々のお店によって使い方は色々ですが、

アレンジした上で継続的に取り組むと、

売場の1等地、2等地での生産性の差なども見え始める為、非常に効果的です。

 

何回かに分けて、掘り下げていきますので、

ご参考いただけますと幸いです。(^^♪

 

////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

【 筆者プロフィール 】

株式会社 せんだ兄弟社 代表取締役  専田 政樹(HP https://kyodaisha.com)
株式会社 日本保安 店舗支援PJ担当シニアコンサルタント
学校法人 産業能率大学総合研究所 兼任講師
一般社団法人 日本ダイバーシティ・マネジメント推進機構認定 ダイバーシティコンサルタント
一般社団法人 インターナショナルバリューマネジメント協会 理事

7&iグループ出身、小売業歴20年の中小企業診断士
 店舗運営管理、販売スタッフ教育等を経験後、グループ内事業会社へ転籍し、小売業から製造小売業への転換を目指す新商品開発部門でSV、VMD、マーケティング、プロモーション企画等を担当し、外部専門職のマネジメント業務等に従事。
 その後、管理部門の責任者を務め、営業利益▲3%から、1年で+0.5%に改善した実績を持つ。

「次代を担う子供たちに【明るい未来】と【豊かな社会】を託す」事を志に独立開業。2017年3月、企業の人に関する支援を行う㈱せんだ兄弟社を設立。組織人事、各種制度構築、業務改善、人材育成などを事業領域として活動中。

→プロフィール詳細

https://www.nihon-hoan.co.jp/column/2017/04/%E2%96%A0%E5%9F%B7%E7%AD%86%

/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////

第14話:売場担当者の利益目標をどう設定するか

 2018/04/30

STEP3:粗利ミックスを考える

 

 

皆さんこんにちは。

さて、今回のテーマは表題にあげた、

売場担当者の利益目標の設定についてです。

 

先日、支援先のある企業の店長からこんな質問をいただきました。

「スタッフに利益目標を持たせるとしたら、どう設定したら良いか」

という事についてです。

 

考え方は色々ありますが…という事でひとまずは

想定し得る切り口をいくつか提示し、メリットデメリットを説明していきます。

 

■「営業利益」ベースで設定する

 メリット

  本筋から言って利益視点を持たせるのであれば、

本業の利益を示す営業利益で考えるべきで最も目的に合致する。

 デメリット

  自分の担当分野についての営業利益で考えなければ、

  目標管理の視点からいうと意味をなさないが、

  商品別や売場別で数値をグリップする為の手数が別途必要になる。

  ※当該店舗では売上、粗利までは把握しているが、

   商品別での損益計算は行っておらず、非現実的である。

 

■「売上ベース」で設定する

 メリット

  最もわかりやすく数値を表示する事が可能で、

  日々レベルで成果を図る事ができる。

 デメリット

  単品毎の収益性が考慮されず、またロス管理についても

  対象から外れる為、スタッフへ利益目標を持たせたいという

  そもそもの目的に合致しない。

 

と、ここまでは普通の話ですが、

最終的にどうするか?という議論になりました。

改めて集計しなくても見る事ができる数値をベースに

メリット、デメリット論を続けます。

 

■粗利率ベース

 メリット

  売上予算が決まっている為、そこを達成しつつ

  粗利率目標を設定すれば、利益視点での業務の遂行につながる。

  最終目標値を明確にすることで、利益に対する軸ができ、

  担当商品全体の粗利率について敏感になる。

 デメリット

  粗利率が上がれば何でも良いという状況になってしまう可能性がある。

  例えば、お客様にとって必需品であっても、

  もともとの粗利率が低い商品を扱う事で粗利率が下がる為、

  商品扱いをカットする、フェイスを縮小するといった場合がある。

  ※実際に同様のアクションが発生するケースを体験してきた。

   設定値を下回るアイテムをいかに扱わないようにする事で目標達成に近づき、

   逆に扱ってしまうと、設定値を上回る効果を出す商品を別途つくる必要がでてくる。

   結果としてお客様本位の品揃えにならなくなる。

 

■粗利額ベース

 メリット

  単品毎にいくらで売るかが重要になる為、

  売り切り処分等を含めた価格設定に敏感になる。

  価格を出して売り込む際でも、粗利額に敏感になる。

  粗利額ベースで発想する為、顧客の支持がある商品を扱う事での

マイナス効果が発生しない。

 デメリット

  粗利率の低い商品を扱うケースが発生する。

  薄利多売で粗利を確保する発想が生まれる。

  ※原価を割らなければ足は引っ張らないという発想が生まれる。

 

 

さて、後者の2つの指標についてどう思いますか?

ちなみにこちらでは後者、「粗利額」で考える方をとりました。

選択した理由は、顧客満足度の重要度を高く捉えたからです。

 

 

お店が目指す基本的な構造を考えた際に、

こんな選択肢を示して問いかけを致しました。

そもそも今回の利益意識を高めて何を狙っているかについてです。

A:商品サービスに満足してもらい品揃えの良い店だと認識してもらい、

  今後もリピートをしてもらいたい。

  継続して満足度を追求する為には原資が必要になる為、

  利益もしっかりとだし、今後の投資も確保したい。

B:しっかりと目標利益を確保する事ができ、

店舗の、自身の、メンバーの社内評価が高まった。

C:その他

 

売上は、お客様からの支持のバロメーター、

利益は、お店のマネジメントのバロメーター

このように例える事があります。

ケースによっては、マネジメントがあまりにザルなので

何とかしたい・・・というパターンもあります。

マネジメント強化が目的である場合、

「B」が狙いという事も実際にあり得ます。

 

今回の場合は、「A」がベースという事でしたので、

お客様重視の品揃えを維持しやすい「粗利額」を

目標設定指標とすることにしました。

財務でも貢献利益をいう考え方がありますが、

少ない粗利しか稼げない商品であっても、

お客様の暮らしに欠かせないような商品は

逆にどこよりもしっかりと扱い、

顧客満足を高め、リピートを増やす事で、

お店を活性化させたい…という方向です。

 

 

同一業態の競合条件が激化するだけでなく、

各業態ともクロスMDに取り組み品揃えの幅を増やしています。

結果的に、コンビニでも生鮮食品が扱われ、

ドラックストアでも食品が扱われ…

といった状況がどんどん進んでいる中、

使い分けの中でお客様に選んでもらう店つくりをする事の

重要性が高まっています。

 

売り手の論理からいうと、都合の良い事であっても、

お客様の立場で考えると良くないというアクションを

知らず知らずのうちにとっていると、

お客様の支持を失ってしまいます。

 

継続的に、将来もお客様に良い商品、サービスを提供し続けられるよう

対応策も考えなければならない時代になりました。

定期的に判断基準の振り返りが効果的です。

是非、お客様目線の店作りを推進していきましょう。

第13話:利益を視点のフェイス設計②

 2018/01/31

STEP3:粗利ミックスを考える

 

前回は売場での事例をあげながら、フェイス設計をテーマにお伝え致しました。定性的な店頭のお客様の状況の変化や、定量的なデータの情報を合わせて、時間帯ごとに最適なフェイス展開を考えました。

 さて今回はさらにもう一歩踏み込んで考えていきます。実際に粗利がどのくらいになるのかを計算し、フェイス設計にも活用していこう・・・という内容です。
 
情報としてまずは価格を加えて、前回のようにメンバーと議論してみましょう。私(上長役)がメンバーのAさんと打ち合わせをしていきます。

私  :昨日の状況はどんな状況だったか教えてくれるかな。
Aさん:単品毎の販売数量は以下のような状況でした。
売上金額は、「あ」が12,000円、「い」が8,750円、「う」が7,000円でした。
アイテム全体では、27,750円でした。   

■情報
売場:10フェイス
扱いアイテム数

私   :なるほど。ありがとう。しっかり状況をつかめているね。
Aさん:フェイス設計について考えるようになってから、結果がどうだったのか楽しみに
     なるようになりました。
私   :いいねぇ。そうなってくると仕事も楽しくなってくるよね。
    

さて、今回はもう一歩踏み込んでいこう。その結果粗利額はどうなったか考えていこう。

Aさん:粗利ですか…
私   :そう。全体として利益ベースで考えていこうというという方針がでている事は
           前回も伝えたよね。どうして利益べ―スで考えるかまで聞いているかな?
Aさん:はい。これから人口も減るし、高齢化も進んできているのでなかなか売上を伸ば
           しにくい環境になってくるからと説明を受けています。
私   :そうそう。よくわかっているね。ひと昔前は物がどんどん売れたけど、今はなか
           なかそうもいかない時代になってきているのは体感できているよね。逆に今の若
           い世代は何もしなくてもどんどん売れた時代を知らないからそれも普通に感じる
           かな。昔は、売れ残るという事が少なかったせいもあって、売上を作れば利益は
           後からついてくる…と言われる事がおおかったのだよ。だから売上ベースで発想
           する事が仕組みとなっているケースが多くなっているのだけど、もうそういう時
           代ではなくなってきたという事だ。逆にそんな昔のこと言われても・・・という
           感じかもしれないね。
      
売上が伸びないという事は、きめ細かく管理をしてしっかり利益をだして、そこからお店に再投資をしていく事が重要になってくる。荒っぽい仕事をして余裕がなくなってくると、徐々に苦しくなってきて、店舗の老朽化が進んでも手が打てなくなってくる。お店を使ってくれるお客様に、良い商品サービスを提供し続ける為には、しっかり利益管理をしていく事が重要になるわけだ。

Aさん:なるほど。先の事まで考えると確かにそうですよね。
私   :じゃあ早速だけど、粗利について考えてみよう。今まであまり「粗利」の事を伝
           えてなかったから、まずは商品別の粗利率を見てみよう。昨日の売り上げだと粗
           利はどうなるかな?

■情報
売場:10フェイス
扱いアイテム数
私   :なるほど。ありがとう。しっかり状況をつかめているね。
Aさん:フェイス設計について考えるようになってから、結果がどうだったのか楽しみに
     なるようになりました。
私   :いいねぇ。そうなってくると仕事も楽しくなってくるよね。
    

さて、今回はもう一歩踏み込んでいこう。その結果粗利額はどうなったか考えていこう。

Aさん:粗利ですか…
私   :そう。全体として利益ベースで考えていこうというという方針がでている事は
           前回も伝えたよね。どうして利益べ―スで考えるかまで聞いているかな?
Aさん:はい。これから人口も減るし、高齢化も進んできているのでなかなか売上を伸ば
           しにくい環境になってくるからと説明を受けています。
私   :そうそう。よくわかっているね。ひと昔前は物がどんどん売れたけど、今はなか
           なかそうもいかない時代になってきているのは体感できているよね。逆に今の若
           い世代は何もしなくてもどんどん売れた時代を知らないからそれも普通に感じる
           かな。昔は、売れ残るという事が少なかったせいもあって、売上を作れば利益は
           後からついてくる…と言われる事がおおかったのだよ。だから売上ベースで発想
           する事が仕組みとなっているケースが多くなっているのだけど、もうそういう時
           代ではなくなってきたという事だ。逆にそんな昔のこと言われても・・・という
           感じかもしれないね。
      
売上が伸びないという事は、きめ細かく管理をしてしっかり利益をだして、そこからお店に再投資をしていく事が重要になってくる。荒っぽい仕事をして余裕がなくなってくると、徐々に苦しくなってきて、店舗の老朽化が進んでも手が打てなくなってくる。お店を使ってくれるお客様に、良い商品サービスを提供し続ける為には、しっかり利益管理をしていく事が重要になるわけだ。

Aさん:なるほど。先の事まで考えると確かにそうですよね。
私   :じゃあ早速だけど、粗利について考えてみよう。今まであまり「粗利」の事を伝
           えてなかったから、まずは商品別の粗利率を見てみよう。昨日の売り上げだと粗
           利はどうなるかな?

■情報
売場:10フェイス
扱いアイテム数

Aさん:「あ」が300×25%×40個で3,000円、
           同じように「い」が2,625円、「う」が2,800円で合計8425円ですね。

あれ…粗利額だと「い」より「う」の方が高くなりますね。

私   :そうそう。そういう事。1個あたりの粗利額を計算するとどうなるかな?
Aさん:「あ」が75円、「い」が75円、「う」が112円です。あれ?「あ」と「い」は粗
           利額が同じになった。儲けは「う」が一番たかいのか・・・・
私   :ちょっと見方が変わったかな。それぞれの商品に対してお客様のニーズや好みが
           あるのは勿論だけど、売上を伸ばそうと思うと、お客様の支持が高くて単価の高
           い「あ」を重点にしたくなるけど、儲けを考えると「う」の方が重要になるね。
Aさん:そうですね。フェイス適正に保つとしても、商品の特徴や食べ方なんかをPOPで
           提案したりして、「う」を売り込む工夫をする余地がありそうな気がします。
私   :そうだね。限られた時間のなかで工夫をするなら、「あ」よりも「う」に手をか
           けていきたいよね。
Aさん:これまで、単価が高くて、販売数が多き「あ」 に気を取られて、あまり注目し
           てなかったですが、今度は「う」を売り込んでみようと思います。
私   :OK。注意して欲しいのは、粗利の高い商品を売り込むのはお店側の都合でもある
           ので、さじ加減が重要であるという事だね。商品の良さをしっかり伝えてお客様
           に喜んで購入していただく事を大切に考えていこう。
Aさん:わかりました。やってみます。

いかがでしょう。わかりやすくする為に単価や率を調整していますので、話的には出来すぎかもしれませんが、粗利額や率に着目して考えると、少し見方が変わってきます。平素の売場運営でしっかりと粗利を意識する事で、アクションが変わります。

これからの時代を勝ち残る為にもしっかりと意識を浸透させていきましょう。

 

第12話:利益を視点のフェイス設計①

 2017/12/31

STEP3:粗利ミックスを考える

 

さて、第11話では、フェイス設計について、実際にお店でどのような指導をしていくか…という視点で事例ケースを提示しました。今回はその続きとなります。

 

シーンとしては、トマトの売場の事例で「アイテム別にどのようにフェイス数を配分するか」を、二人の販売員が持ち寄った以下の情報をもとに議論をしています。

 ■情報
売場:10フェイス
扱いアイテム数
先輩社員のAさんは「4:3:3」、後輩のBさんは「6:3:1」という意見でした。それぞれ仕事の進め方、考え方から上記のフェイス構成を考えています。
ここで私(上長役)は以下のような話をしました。
・両者の意見と仕事ぶりから、良い点をフィードバックする→承認する
・判断するには情報が不足していることを伝えどのような情報を活用すべきかを考え、
 まずは項目を整理するよう指示。締め切りは1週間後。
・方法論をフィックスする間の対応は2人それぞれの案を、
私(上長役)が入って3者協議をする形式をとることを決定伝達。
さしあたって明日は「5:3:2」で実施することを指示。
 ※前回第11話はこちらからご確認できます
  →3年目から考え始める店つくり

今回はこの後、1週間が経過し、それぞれからでてきた意見を集約し、今後の方向性を考えていく打ち合わせをするところから始めます。

私:では打ち合わせを始めようか。1週間の間に多少の意見交換もしたけど、なかなかゆっくり時間が取れなかったから、改めて整理をしていこう。では先にBさんから整理した内容を教えてくれるかな。

B:はい。
私はうまくデータを活用していきたいと考えいくつか考えてみました。ひとつは今年の方針で利益確保というテーマがあがっていますので、単品ごとの粗利率、額を考えてみました。1個●円の売り上げに対し、いくら粗利が立っているかを考慮すべきだと思います。
また在庫データと販売データのギャップを確認し、値下げや廃棄の発生状況を考慮すべきだと思いました。アイテム「い」について、平均日販は確かに30個ありますが、在庫量も多く、売上と在庫ギャップが最も大きい状況となっていました。実際に商品の廃棄も3つのアイテムの中では最も多く感じます。

私:なるほど。利益面に着目してデータを検証してみたというところかな。ではAさんはどうかな?

A:はい。
私の場合は前回も気づいてくださっていたようですが、日中のフェイス調整を重んじています。情報という意味で言うと、データではありませんが時間帯別の客層変化に着目しています。天候や気温の変化に応じて、お客様の状況が変化していますので、きめ細かにフェイスの構成を調整しています。午前中の高齢者が多い時間帯は、少量パックであるアイテム「い」のフェイスを大きめに展開しています。また高齢層のお客様は比較的、来店頻度が高く、同じものを繰り返し購入する傾向が高い為、朝の開店時は近しい商品を比較的大きめにフェイス設計をしています。いつもの商品が、いつもの場所にしっかりとあることも重要な要素だからです。
一方でうちの店の場合高齢層は自転車客が多いため、例えば雨が降ったりすると客足が鈍ります。その際は様子を見ながらアイテム「い」のフェイスを縮小し、日中主婦層が最も購入する「あ」のフェイスへ切り替えタイミングを早めていきます。
アイテム「う」については、Aさんが用意してくれたデータも考慮して、どのくらいのフェイスが適正か再考していきたいなと思いました。地域イベントでお弁当需要があるときなど、しばしば通常より伸びることがあるのですが、「常に」という事でもないので、普段は適正フェイスにしたいと思います。
私は経験上、売場での動きを重視していましたが、確かにもう少しデータンも含めて掘り下げる必要があるなと、改めて思いました。

私:Bさんはどうでしょう。

B:Aさんの話を聞いてなるほど…と思いました。
普段から、売場で何をしているのだろうと思っていましたが、客層に合わせて微調整をしていたのですね。詳しく聞いたことがなかったのでわかりませんでした。気温や天候…、それと中期的には季節の変化も…、ですかね。
時間帯別の客層を意識してどの商品がどのくらい売れそうかを考えて、売場設計と発注数量のバランスをとりたいと思いました。時間帯別の発想をいれて、Aさんに相談しながら計画の立て方を考えてみようと思います。

A:そうしたら、季節ごと、時間帯ごと、天候ごとといったお客様の傾向について教えるから、数値に落として考えてみようか。計算得意そうだもんな。

B:はい。是非お願いします。

私:いいですねぇ。
では二人でもう少し取り組み方について煮詰めてもらおうかな。来週どうなったか、また教えてもらうから、今週は二人で相談しながらフェイスを決めて色々ためして、検証して、どのパターンで計画するのがよさそうかプロセスを考えてみて欲しい。
一応テーマを整理しておくと、検討の軸は2点。
ひとつは、お客様の立ち場に立って、魅力的な商品、欲しい商品が適切に提供されている売場にすることを考えること。これはAさんの得意領域ですね。 
もうひとつは、売上の計画と、計画通りに売れたとしたら、粗利がいくらになるか。そのアイテム毎の構成比と、売場のフェイス構成のバランスを確認してみて欲しい。
先ほどの議論の内容からいくと、天候等の情報を取って、客層の変化の仮説をたてる…という流れになるでしょうね。
すると、午前中の高齢者客がメインの時間帯、日中の主婦層が多い時間帯、夕方の共働き層や仕事帰り層といった3パターンくらいに分かれるかな。それぞれどうなるかシミュレーションをしてみてくださいね。こちらはBさんの領域ですね。
途中で何かあったら遠慮なく声をかけてくださいね。では来週また打ち合わせをしましょう。

こんな感じでしょうかね。議論はあくまで事例ですので、少々スムーズに行きすぎのストーリーかもしれませんが、経験を積み重ねて習得した情報やスキルと、客観的な数値データ等を組み合わせて、具体的に売場の管理レベルを上げていく事がポイントです。状況に合わせて最適なフェイスで、お客様へご提案する事で、売上、利益の最大化していくアプローチにつながります。

次回はさらに続きとして、数字に落とし込みをしていきますので是非ご覧ください。

第11話:3年目から考え始める店つくり

 2017/12/24

 

 年末に向け、冬物商戦、年末商戦といったピークを目前に、お店の皆さんは大忙し時期 になって参りました。この波を超えると、徐々にお店も、もっと言えば会社全体も春への準備へと転換していきます。

 さて、春といえばやっぱり新入社員の季節ですよね。各職場でフレッシュなメンバーが入り、初期教育が行われていきます。

一方で、先輩社員も襟を正して、基本に立ち返る必要がある時期でもあります。やはり新入社員に模範示すという意味でも、率先垂範が重要です。これが伴わない職場では、新人達に施した基本教育が「先輩たちもやっていない」という理由で、浸透しないという現象が起きやすくなります。

 

また、最近増えてきているのが若手社員へのフォロー教育です。特に小売業の場合、OJT(現場教育)のウェイトが高く、入社時の初期教育の後は働きながら学ぶスタイルがほとんどで、「入店した店のタイプ」「上長の指導」「教育担当となった先輩の教え方」…など様々な背景に影響を受けて個人差がついていきます。もっと言えば基本動作を習得した後、「仮説→計画立案→実行→検証→改善→新たな仮説」といったマネジメントサイクルをもって取り組むことができるかどうかで、本人の視点や取り組み方が大きく変わってきます。

一方、これは、あるいみ昔から変わりませんが、「最近の若手は・・・・」という声があるのも事実です。環境の変化スピードがどんどん速くなっていることもあり、世代感の生きてきた時代背景のギャップが広がってきた影響もあり、価値観の差が大きくなっていることも原因の一つでしょう。また過去に比べ、売上を伸ばしにくい環境になっている為、成功体験をしにくくなっており、小売業の仕事そのものの楽しさを感じにくくなっていることも一因です。

こういった背景を受け、人口減少時代で確保した貴重な若手の定着、育成を強化したいというニーズから、若手世代の育成を図る教育研修のご相談を受けるケースが増えてきています。

(続きを読む)